Safari 3.1 登場。堅実に進化するスタンダードWebブラウザ

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Safari v3.1 Speed maniac Web Browser

アップルのWebブラウザ「Safari」が3.1へとバージョンアップした。Mac OS X 10.4/10.5、Windows XP/VISTAに対応し、Mac、およびアップル製ソフトウェアがインストールされているWindowsなら、ソフトウェア・アップデート経由で、それ以外の場合は、アップルのSafariオフィシャルサイトから無償でダウンロードできる。

今回のバージョンアップのポイントは3つ。Webサイトの読み込み速度の高速化と、Web標準規格への対応、互換性・セキュリティの向上だ。その中で気になるのは、やはり高速化の部分で、いったいどれぐらい早くなったのだろうか興味津々。早速Leopard環境にインストールして、サファリ・ツアーを開始した。

確実に体感できる高速化

会社と自宅のMac、WindowsのSafariをアップデートして使用してみた感想は、「明らかに読み込み速度が速くなっている。」だ。以前「dolipo」という、Webアクセスを高速化させるアプリケーションを紹介したが、それに匹敵するほどの速度アップが体感できた。

特に様々なJavaScriptを読み込むサイトでのパフォーマンスは目覚ましく向上しており、Google Mapなどの非同期通信を行うサイトでの読み込み速度が大幅向上。「他のブラウザよりも6倍速い」との公式コメントは少々言い過ぎとしても、確実に、現時点で流通している他のブラウザよりもパフォーマンスは高いと言えるだろう。

HTML、スタイルシート

最近何かと話題になっている「HTML5」のビデオ、サウンド関連のエレメントをサポートし、確実に到来するであろう「HTML5」時代に向けての実装を行い、スタイルシートの実装強化を行った。

特にCSS3の「CSS3 Web Fonts」のサポートは個人的に凄く嬉しい対応。大まかに言うと、今までのWebブラウザのフォントの扱いは、CSSでフォントが指定してあった場合、OSに組み込まれているフォントを参照して、一致する場合は表示し、しない場合はWebブラウザの設定によって置き換えてしまう仕様だった。

それが「CSS3 Web Fonts」では、 CSSで指定したフォントを自動的にダウンロードして、Webサイトをレンダリングする際に読み込んで表示してくれる機能で、これによりOSにインストールされているフォントを気にせずに、Webデザイナーはサイト・デザインに専念できることができる。商用のフォントが対応するかどうかは微妙なところだが、それが可能となった場合、「このパラグラフは中ゴシックBBBで表示させよう」「ここの見出しは太ゴだな」みたいな事ができるようになるかもしれない。しかし日本語フォントの容量はめちゃくちゃ大きいので、実用に耐えられるのか、欧文フォントのみ普及するのか、不安要素は多い。

互換性、セキュリティの向上

その他、サイトの互換性、セキュリティの向上も図られている。これらは速度向上や、Web標準規格のサポートなどに比べると、いかんせん地味に見えてしまうが、実はWebブラウザにとって一番重要な基礎の部分。特にセキュリティの貧弱性は日々発見されており、個人情報流出に繋がる恐れもあるので、今回のようなメジャークラスのアップデート以外のマイナーバージョンアップの場合でも、細かくアップデートしておくことが重要だ。

環境設定にも異変が

環境設定 セキュリティ

環境設定 セキュリティ

環境設定 詳細

環境設定 詳細

環境設定の項目にも、今回のバージョンアップによって異変が起こっている。「セキュリティ」タブに「データベース保存用のデフォルト領域」の設定欄が追加され、容量の設定や、データベースの表示が行えるようになった。ここの「データベース」は、Webアプリ用のデータ保存領域のことを指す。

「詳細タブ」にも新項目が追加された。「メニューバーに”開発”メニューを表示」というチェックボックスで、ONにすることにより、開発メニューからユーザーエージェントを変更したり、画像、スタイルシート、JavaScriptをOFF、HTMLを階層で表示させたり、読み込んでいるイメージを表示、アクセス時のネットワーク状況を表示できる、Webインスペクタを表示させることができるようになる。

今まで「Safari Stand」などのユーティリティソフトで表示できるようになる「Debug」メニューが日本語化され、環境設定から簡単に表示できるようになったのは、Web制作者には朗報だろう。

その他、気になった改良点、改悪点

これは改悪と言うべきじゃないだろうか。今までツールバーの検索欄で文字を入力し、コマンドキー + リターンを押すことによって、新規タブで検索結果一覧が表示していたのが、されなくなった。かなり重宝していたショートカットなだけに大ショック。なお、URLを入力して、コマンドキー + リターン を押すと、きちんと新規タブでページを開いてくれたので、仕様変更ではなくバグの可能性が高い。

タブが表示されている領域のグレイの部分をダブル・クリックすると、新規タブを開いてくれる機能が実装された。FirefoxやOperaでは既に実装されている機能で、実に使いやすかっただけに、今回の対応は嬉しい限り。

Windowsハイジャック

改めて関心したのが、Windows Safariの徹底したハイジャック行為。というのは、Mac Safari、Windows Safariはウインドウの外観から、環境設定まで、徹底的にUIの統一を図っていて、使っていると良い意味で気持ち悪い。

MacとWindowsの機能差は、開発メニューも動作するなど、この3.1でだいぶ詰められた感がある。以前のバージョンでは英語表示だったのが日本語化され、セキュリティ、パフォーマンスも大幅に向上した事を考えると、アップルのWindowsへの情熱を感じられる。Windows版、iTunesやQuickTimeが公開されたときも感じたが、本気でWindowsを攻めにいっている。特にWebブラウザは使用比率が高いために、ここを押さえてしまえば、ハイジャックは間違いなく成功するだろう。その前にInternet Explorerという巨人を制しなければならないが・・・。

標準Webブラウザの正しい進化

今回のSafariのバージョンアップを分析すると、見た目の変化はほとんどなく、操作方法も従来とほぼ変わらず、内部的な部分が強化されたに過ぎないが、 堅実に進化していると思う。Internet Explorer、Operaは高機能化を推し進めているが、Safariはそれとは違う進化を進めている。評価に値するかどうかは、ユーザーによって異なると思うが、万人の目から見た場合、高機能で快適よりも、シンプルで快適のほうが好まれるのではないだろうか。

一番残念に思うのは、拡張性が乏しいこと。Firefoxのように、シンプルだけれども拡張性に優れ、独自のカスタマイズができるようになれば、万人向けのブラウザとしての地位を築くことができるに違いない。しかし、ブランド戦略という点から考えると、拡張性を排除し、徹底的にアップルのUIで統一を図ることは、おそらく正解だと思う。それを受け入れられるのは、同じくアップル製のMacユーザー。受け入れられないのがWindowsユーザーではないかと思う。

この分析が正解だとすれば、Windows Safariの位置づけは本当に微妙だし、リリースする意味が本当にあるのか?と疑ってしまうが、そこは戦略が巧みなアップル。おそらく他の思惑があってのことだろう。今後のアップル・ソフトウェアはどのように進化し、どのような位置付けで、どう攻略していくのか、ますます楽しみになってきた。

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